たくさんの発達障害の本が出回っている中、何を選んだら良いのか迷っている方も多いのではないでしょうか。
- なんで言うことを聞けないの?
- ダメって言ったじゃない!
- 早く勉強しなさい!どうしてできないの?
上記のように、子どもに叱ってばかりで、かといって子どもの行動が改善する様子が見られない方が実に多いことでしょう。
だからこそ、子どもにどのように関われば良いのか、勉強する必要が出てくるんです。
そこで、本記事では、発達障害の子育てにおすすめの本7つを厳選紹介させていただきます。
小手先だけの子育て論ではなく、根本的なところから発達障害を理解したいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
今回紹介する本は、すべて保護者向けであり、支援者向けの専門書ではありません。
イラスト付きでわかりやすく、1,500円前後と手を出しやすい価格帯となっています。
Table of Contents
発達障害の子育て本①発達障害の子どもの心と行動がわかる本
1つ目の子育て本は、『発達障害の子どもの心と行動がわかる本』です。
イラスト豊富で、文章をそこまで読まなくても、理解しやすい良書。
子どもの気になるサインが一つずつ丁寧にイラスト化されており、当てはまるサインに応じた深い理解と対応策をピンポイントで勉強できます。
特に、7章の「家庭での支援」は必見で、就学から進学、進路、就職までを見据えた内容なっており、親として今から何をしておくべきなのか?を理解できるでしょう。
発達障害の子育て本②発達障害の子の感覚遊び・運動遊び 感覚統合をいかし、適応力を育てよう
2つ目の子育て本は、『発達障害の子の感覚遊び・運動遊び 感覚統合をいかし、適応力を育てよう』です。
ほとんどの発達障害のお子さんは、感覚過敏や感覚鈍麻など、感覚がうまく育っていません。
ここでいう”感覚”とは、視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚などもいわゆる5感も入りますが、それ以上に大切な”前庭感覚”と”固有感覚”も含めた感覚を指しています。
- 自分の子どもがどの感覚の育ちが遅れているのか?
- 遅れているのなら、どんな遊びでその感覚を発達させるのか?
- 感覚の発達にばらつきがあるとどんな困り事があるのか?
上記の内容をイラストでわかりやすく解説されていますので、年齢の低いお子さん(できれば6歳以前)がいる親にはおすすめの本です。
10年以上前の本ですが、保護者向けのわかりやすい感覚統合の本です!
子どもをなんとなく遊ばせている親の場合は、目からウロコの内容に間違いありませんよ!
発達障害の子育て本③発達障害の子のイライラコントロール術
3つ目の子育て本は、『発達障害の子のイライラコントロール術』です。
- 思うようにいかないと、すぐに怒る
- 友達を殴る、暴言を吐く、物を投げる
- 平気で順番を破る
- 褒められている子どもを見ると意地悪する
上記のような行動は、幼稚園の時はまだ許されるかもしれません。
しかし、小学校以降でもまだ友達を叩いているようでは、担任から苦情がきたり、PTAで問題になったりと、見過ごせない状態になります。
放っておくと、「あいつには何を言っても無駄だ」「一緒にいると嫌な思いしかしないから遊ばないようにしよう」と、仲間はずれにされて最終的に孤立になりがちです。
本書を読むことで、子どものイライラコントロール術を学べるだけでなく、親のイライラ解消法も紹介されているので、今より子育てに追われている感が少なくなるでしょう。
子どもをキレさせるNGワードも紹介されているので、読んでいてドキッとするかもしれませんよ。
子どもに振り回されている親には必見の良書です!
発達障害の子育て本④マンガでわかる おうちのルール:小学校入学までに身に付けたい45の習慣
4つ目の子育て本は、『マンガでわかる おうちのルール:小学校入学までに身に付けたい45の習慣』です。
「小学校入学まで」とありますが、できていないのであれば、何年生からでも始めるべき大事な習慣が網羅的に紹介されています。
- じぶんのことは、じぶんでやろう
- くつはそろえてぬごう
- 「ありがとう」をくちぐせにしよう
- 「ごめんなさい」をいおう
- ひとのはなしは、おへそをむけて、めをみてきこう
- 「おしえて」とすなおに、いおう
参考:『マンガでわかる おうちのルール:小学校入学までに身に付けたい45の習慣』の目次より一部抜粋
どれも、当たり前の内容しか書いていませんが、逆に小学校に行ってもこれらができていないと問題児扱いされてしまいます。
イラスト付きでひらがなで表記されているので、子どもと一緒に本書を読んでみると良いでしょう。
「全然できていないじゃない!」と子どもを非難するために使うのではなく、「うちの子に必要なソーシャルスキルは具体的にこういうことを指すのか!」と理解するために使うと良いです!
発達障害の子育て本⑤マンガでわかる 魔法のほめ方 PT:叱らずに子どもを変える最強メソッド
5つ目の子育て本は、『魔法のほめ方 PT:叱らずに子どもを変える最強メソッド』です。
“PT”とは、ペアレントトレーニングの頭文字をとった略称で、「親がきちんと発達障害の子育てを勉強して実践しましょう」といった主旨のアプローチ方法だと理解してください。
ペアレントトレーニングは、応用行動理論というアプローチ方法がベースとなった考え方ですが、要は「良いことは褒めて、悪いことは無視する」ような子育てです。
本書には、事例ごとに対応例が書かれているので、今すぐにでも役立つ内容となっています。
例えば、お菓子売り場で地団駄を踏んで、お菓子を買うように大泣きすることがいたとして、本書では無視して相手にしないことが紹介されています。
仮に、子どもの話を聞いてもし購入してしまえば、「泣けば要求は通るのだ」と誤学習をするでしょう。
逆に、約束を守ったらきちんとお菓子が買ってもらえるように、適切な振る舞いをすればお菓子は買ってもらえると、良い学習をしてもらう必要があります。
このように、事例ごとの具体的な対応例が紹介されているので、いつも叱ってしまう親ならぜひ読んでおきたい一冊です。
発達障害の子育て本⑥自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方
6つ目の子育て本は、『モンテッソーリ教育・レッジョ・エミリア教育を知り尽くした オックスフォード児童発達学博士が語る 自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方』です。
発達障害の子育てでは、「とにかく叱らずに褒めたらいいんだな」と理解した方もいるでしょう。
大方その理解で良いですが、いい加減に褒めると子どもを無気力にしてしまう可能性があります。
その典型例が、本書でいう「おざなり褒め」です。
「すごいね!すごいね!」と褒めても、何がどうすごいのか子どもにはさっぱりわかりません。
しかも、こういった中身のない表面的な褒め方は、褒められないと自信が持てない「褒められ依存症」に発展するので、注意が必要です。
発達障害の子育てでは、褒めることが重要ですが、その褒め方をきちんと学ぶのにおすすめの一冊となります。
発達障害の子育て本⑦3歳からのアドラー式子育て術「パセージ」:ほめない、しからない、勇気づける
最後に紹介する子育て本は、『3歳からのアドラー式子育て術「パセージ」:ほめない、しからない、勇気づける』です。
『嫌われる勇気』というベストセラーで知られるようになったアドラー心理学ですが、そのアドラー流の子育てを紹介した本となります。
アドラー流の子育ての一番の真髄は、「褒めない」ことです。
多くの子育て本とは、全く逆の子育て論を主張しています。
褒める子育ても褒めない子育ても、どちらが間違っているわけではないですよ。
ただし、療育的な目的のある褒めであり、その褒めをずっと続けないのであれば、褒めるのも有効手段であると私は考えています。
あまりにも褒めすぎるまたは罰を与えすぎると、褒められるのが生き甲斐、褒められることに飢えた子どもになってしまいかねません。
例えば、友達が困っていた場合、先生が見ていたら助けるし、先生がいなければ無視する子どもになってしまう可能性があります。
幼いうちから極めて打算的。
周りからの評価が全て、いい行動だったとしても褒めてくれる人がいないならやる意味がないと考えてしまうのです。
また、承認欲求の強い人(子ども)は、かまってちゃんになりがちで、周りから冷ややかな目で見られます。
さらに、他者の評価を気にすぎて、精神を病んでしまい、その子本来の良さを引き出せないことも考えられるでしょう。
最終的には、褒められずとも望ましい行動を取れる人間に育てるのが、アドラー流の子育てです。
これまで紹介した本の中で、一番内容的に難しいですが、「こんな大人になってくれたら、親がいつ死んでも大丈夫だな」と思えるような、本当の意味で子どもの自立を考えた育児本となっています。
アドラー関連の子育て本では、発達障害の話題があまり登場しませんが、褒めることにも弊害があることを知っていて損はありません。
いろんな子育ての考え方を知った上で、お子さんの特性やライフステージ、シチュエーションに合わせて、子育てに応用してください。
補足:教育格差|「貧しい家庭ほど放っておいても子どもは育つ」と考える
最後に、もう1冊紹介する本は、『教育格差』です。
こちらの本は、子育てのハウツーが紹介された本ではなく、客観的なデータで日本の教育に格差が生じていることがわかる内容となっています。
特に、一番衝撃的な内容と言えるのは、「中流家庭では意図的・計画的な介入があってこそ子どもの能力を伸ばせると考えるのに対し、貧困家庭ほど放っておいても子どもは育つと考える」ことです。
つまり、貧しい家庭の親ほど、
- 放っておいても、勝手にスクスク成長する
- 読み書き算数も勝手にできるようになる
- 箸の持ち方・鉛筆の持ち方もちゃんとできるようになる
- トイレも身支度、歯磨きも上手にできるようになる
- 先生の言うことはきちんと聞けるようになる
- 友達とは上手に人間関係を築けるようになる
都合よく、このような幻想を抱いていると言うのです。
一方で、高所得者または学歴の高い親は、そうは考えず早いうちに対策をとる傾向にあります。
発達障害の子育てに話を戻すと、障害特性や感覚の偏りから、発達障害児が社会にうまく適合しにくいのは言うまでもありません。
そして、親が発達障害の子育てを学び実践する「意図的な子育て」が必要なのも言うまでもありません。
つまり、放っておいて発達障害の子どもが勝手に育つはずがない、そういう考えでいた方が良いことがわかりますね。
お子さんが高校卒業後、仮に「納税できること」をゴールにした場合、発達障害のある人の1年定着率は約7割(※1)と、発達障害者の10人に3人は1年以内に仕事を辞めてしまいます。
ちなみに、全労働者の1年定着率は約9割です。(※2)
また、引きこもりに占める発達障害者の割合は、3割にも上ると複数の報告がされています。(※3、4)
このように、『教育格差』は、読んでいて子育てが不安になるようなことばかり書いてある本ですが、現実から目を背けずに子育てを真剣に考えたい方には読んでおいて損はない一冊です。
※1:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 障害者の就業状況等に関する調査研究(2017年4月)
まとめ:少しずつ子育てについて勉強することが大切!
ここまで、発達障害の子育てにおすすめの本を7つ紹介してきました。
育てにくさのある発達障害のお子さんのためには、親がしっかり本で勉強しておかなければなりません。
しかも、1冊だけではなく、2、3冊といろいろな本を読むことで、よりお子さんを理解する手助けになるでしょう。
どの本からでも構いませんので、まずは1冊購入して読んでみるところから始めてください。
最後まで、読んでいただき、ありがとうございました。