発達障害のあるお子さんが放課後に過ごす場所として活用できる放課後等デイサービス。
送迎や宿題の面倒まで、見てくれるので利用したいとは思っても、希望する放課後等デイサービスに空きがない…。
こんな悩みを抱えてはいませんか?
お子さんにぴったりの放課後等デイサービスを見つけたとしても、空きがないために、諦めてしまうのはなんだかもったいないですよね。
そこで、今回の記事では、放課後等デイサービスの空きがない場合に、うまく滑り込むコツを1つご紹介します。
また、放課後等デイサービスの選び方や放課後等デイサービス以外の居場所もお伝えしますので、お子さんの有意義な放課後の過ごし方を考えるきっかけにしてみてください。
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放課後等デイサービスの空きがない理由は、定員があるから
放課後等デイサービスに空きがない理由は、定員があることです。
多くの場合、1日10人の定員が決まっており、それ以上の利用が見込まれる場合は、受け入れがなされません。
おそらく、「現在定員がいっぱいなので、空き次第ご連絡します」と、事業所から言われた経験があるのではないでしょうか。
定員が本当に空くかどうかはわかりませんし、いつまで待てばいいのかもわかりません。
そのため、過度に期待せず別の事業所を探し始めることになります。
放課後等デイサービスの基本的な探し方
希望する放課後等デイサービスの空きがない場合は、別の事業所を探すことになります。
具体的な探し方は、以下の3種類です。
- 自治体から放課後等デイサービスのリストをもらう
- 施設検索サイトで探す(LITALICO発達ナビがおすすめ)
- 相談員に紹介してもらう
放課後等デイサービスの詳しい選び方は、こちらの記事で紹介しています。
ですが、空きがないと悩まれている親御さんの多くが、上記3点の方法をすでに実践済みではないでしょうか。
実は、施設の事情を踏まえた提案をすることで、受け入れてくれる可能性がゼロではないので、続きをご覧ください。
【裏技的なコツ】空きがない放課後等デイサービスには、送迎負担を減らすことで交渉する
先に結論を述べると、空きがない放課後等デイサービスには、事業所側の送迎負担を減らす提案をすることで受け入れてくれる可能性があります。
なぜなら、定員の問題よりも、学校への送迎ができなくて利用者を断ることがあるからです。
例えば、以下のように一台の送迎車で送迎スケジュールが組まれている場合、あなたのお子さんの下校スケジュールとかぶってしまったら、事業所としてはお迎えに行けないので断るしかありません。
しかし、もしあなたのお子さんが次のような条件を満たしていると、送迎時間に融通が効きます。
- 一斉下校した後、児童館などに行き待機することができる
- 特別支援学級や特別支援学校など教員が多少の時間なら見守りしてくれる
つまり、「この時間に送迎で学校に行ってもらわないと困ります」という状態でなければ、事業所としても受け入れを考えることができるのです。
イメージとしては、以下の通りになります。
このように、空きがないと言われた場合は、事業所の送迎負担を調整できることを伝えることで、受け入れをOKしてもらえる可能性があるのです。
定員がいっぱいなのに、送迎の交渉でなぜ受け入れてくれるの?
ここまで、記事を読まれた方の中には、「送迎のことで交渉したとしても、定員的に空きがないことには変わりないでしょ?」と疑問に感じる方もいるでしょう。
基本的には10人定員なら10人までの受け入れが原則ですが、例外的に定員を超えた受け入れも可能なのです。
どういうこと?って思いますよね。
きちんと解説するので、続きをご覧ください!
まず、知っておいて欲しいのが、どこの事業所にも1日10人の利用者のうち、よく欠席する利用者が何人かはいるということです。
つまり、「今日、子どもが学校に行きたくなくて休んだので、放課後等デイサービスも休みます」という子ども都合で、ドタキャンするケースもあれば
「今日、通院する予定だったのを伝えるのを忘れていたので、休みます」という保護者都合のドタキャンケースもあります。
当日欠席する場合は、欠席時対応加算というものがありますが、その加算というのは事業所に入る金額としては微々たるもので、1,000円くらいです。
1人が放課後デイに来ると、約10,000円(専門的支援加算の算定や都市圏の単価を想定)ですが、突然休まれると、1人あたりの売り上げが10分の1になります。
事業所的には、よく休むのに、10人定員の枠だけ埋めているのは、売り上げ的には嬉しくありません。
なので、多くの事業所が、以下の法令基準に則って、よく休む利用者を「やむを得ない事情」ということで、定員超過しても受け入れられるように調整しています。
「やむを得ない事情」があるものとして差し支えない。また、都道府県等において個別の事情ごとに判断する取扱いも貴見のとおりである。
引用:WAMNET 障害福祉サービス等指定基準・報酬関係Q&A
「障害の特性や病状等のため欠席しがちで、定期的な利用を見込むことが難しい障害児に継続した支援を行う必要がある場合」のようなケースについては、利用人数が恒常的に利用定員を超えている状態でなければ、速やかに是正を図る必要はない。
「生活リズムが乱れてなかなか朝起きられなくて安定した通所ができない」、「入院と退院を繰り返していて通所できない」など、いろいろな事情を抱えたお子さんがおられますからね…。
事業所としては、よく休むから売り上げ的には嬉しくないと思っていたとしても、ドタキャン利用者との契約を一方的に切ることはできません。
そのため、以下のように、新規の利用者で安定的に通ってくれそうな方を10人の正規枠に当てはめて、よく休む利用者を「やむを得ない事情」の枠へ移す。
このように、各事業所は、各自治体のローカルルールに照らし合わせて、売り上げが最大限になるように頑張っているはずです。
したがって、送迎の問題が解消されれば、定員を超過しても受け入れてくれる可能性があります。
放課後等デイサービスで働いたことのない相談員は、放課後等デイサービスの運営スタイルや利用者の受け入れプロセスについて、そこまで詳しくありません。
なので、こちらから相談員に、うちの子の送迎状況を伝えてあげると良いでしょう。
定員に対する考え方が一部厳格な地域もあります。
同じ地域でも、キャンセルありきで定員を超えた登録を認めない実地指導を受ける場合もあるようです。
注意点:送迎の提案はできるが、受け入れてくれる保証はない
先ほどは、定員を超えても受け入れてくれる仕組みを紹介しました。
ただし、「送迎時間を調整できるよ!」と提案しても、受け入れを考えてくれるかどうかは、事業所に委ねるしかありません。
ですが、何もやらないよりは、送迎時間の交渉をすることで、受け入れてくれる可能性がゼロではなくなります。
ぜひ、施設見学に行った際は、送迎時間の融通が効くことをあわせて伝えると良いでしょう。
見学の際は、ぜひお子さんも連れて行ってください。
事業所のスタッフは、お子さんと少し関われば、「この子はうちの事業所に合う子だな」とすぐにわかってくれるものですよ。
ここまで、やってもし受け入れてもらえない場合は、潔く別の事業所を検討することをおすすめします。
放課後等デイサービスは年々増えているが、質の悪いところも多い
放課後等デイサービスは年々増加し、社会福祉施設等調査(2021年度)によると、17,372施設あります。(2012年度は、2,186施設)
厚生労働省「障害福祉サービス等の利用状況について」の調査報告では、2023年4月時点の請求事業所数は、20,307事業所となっています。
空きがない状況で大変だったとしても、事業所数は増えているので、きっと見つかると期待できるでしょう。
ですが、残念なことに質の悪い事業所も存在します。運営会社が建設業者や飲食店だったり、儲かりやすいからといって、異業種がたくさん参入してきています。
運営元が異業種であることが問題ではないのですが、適切な知識と実践が大切にされていない放課後等デイサービスがとても多いです。
だからこそ、政府の方針で2024年度から、放課後等デイサービスが「総合支援型」と「特定プログラム特化型」の2つに分類され、質の悪い事業所が淘汰されるようになるのでしょう。
したがって、お子さんを預けるのであれば、良い事業所にお願いしようとする気持ちは持っておいてくださいね。
令和5年は、放課後等デイサービスでも、児童の死亡事件、虐待事件が報告されましたね。
こちらの記事で、良くない事業所の特徴をまとめてあります。
放課後等デイサービス以外の居場所を考えることも大切
保護者としては、発達障害のことに詳しい放課後等デイサービスにお任せすれば、安心できると感じますよね。
ですが、お子さんの可能性を広げるには、放課後等デイサービス以外での居場所を作って過ごすことが大切です。
例えば、習い事で自分の居場所を見つけ、自分の強みを伸ばすことができれば、将来のお子さんの生きやすさにつながります。
また、放課後等デイサービスでは、障がいのあるお子さん同士での関わりしか持てない、障がいのことに詳しいスタッフとしか関わりが持てない、そんなケースがほとんどです。
お子さんが将来自立する世の中には、自分の障がいのことを理解してくれる人がいるとは限りません。
そんな社会でも、力強く生きていくには、少しずつ活動するコミュニティを広げていく必要があるのです。
ぜひ、お子さんの将来の生きやすさを培うために、いろんな経験をさせてあげてください。
まとめ:空きがない状況でもいつかはお子さんの居場所は見つかる
放課後等デイサービスの空きがない時は、本記事で紹介した方法を使って、事業所に受け入れを交渉してみてくださいね。
絶対に受け入れてもらえるかどうかはわかりませんが、考えてくれるかもしれません。
やらないよりやった方が、後悔は少ないので、見学に行った際はぜひ伝えておきましょう。
また、長い目で見て、お子さんの居場所を放課後等デイサービス以外で考えることも大切です。
放課後等デイサービスで経験できることにも限界があるので、習い事でお子さんの強みを伸ばしてあげましょう。
放課後等デイサービスがお子さんを受け入れる時に、何を考えているのか?をよく理解できますので、ぜひ最後までご覧ください!